創業 1 年目に税理士に聞くべき 5 つのこと
会社を作った直後のご相談で、いちばん多いのは「何を聞けばいいのか分からない」というものです。税理士側から説明すべき事柄ではありますが、聞かれなければ後回しになってしまう項目もあります。創業 1 年目のうちに、少なくとも次の 5 つは確認しておくことをおすすめします。
1. 役員報酬をいくらにするか、いつまでに決めるか
役員報酬は、原則として期首から 3 か月以内に決め、その後 1 年間は変えられません。途中で増やした分は経費として認められないため、資金が苦しくなっても減らす以外の調整がききません。
決め方の目安は、会社に残す利益と、個人で払う所得税・社会保険料の合計が最も軽くなる点を探すことです。1 年目は売上の見通しが立ちにくいので、少なめに設定して 2 期目で調整する会社が多くなっています。
2. 消費税の課税事業者をいつから選ぶか
資本金 1,000 万円未満で設立した場合、原則として 2 期目までは消費税の納税義務がありません。ただし、設備投資や内装工事で大きな支出がある年は、あえて課税事業者を選んだほうが還付を受けられることがあります。
選ぶには届出の期限があり、過ぎると翌期まで待つことになります。開業時にまとまった投資を予定しているなら、登記の前に相談しておく項目です。
3. 決算期をいつにするか
決算期は、売上が落ち着く月の直前に置くのが基本です。繁忙期の直後に決算を迎えると、棚卸しや資料集めが現場の忙しさと重なります。
- 売上の山と決算作業が重ならない月を選ぶ
- 納税の時期(決算から 2 か月後)に資金の余裕があるか確認する
- 設立初年度を長めに取れるよう、設立月から遠い月を選ぶ
4. 領収書と請求書を、誰がどう集めるか
1 年目にここを決めておかないと、2 期目の決算前に数か月分をまとめて処理することになります。クラウド会計を使うなら、レシートをその場で撮る人、週 1 回まとめる人、月初に締める人を先に決めてください。
5. 融資を受けるなら、いつ動くか
創業融資は、実績が少ない時期のほうが通りやすい制度があります。売上が立ってからのほうが有利だと考えて先延ばしにすると、かえって審査が厳しくなることがあります。
準備には、創業計画書、資金繰り表、自己資金の出どころを示す通帳が必要です。申し込みから実行まで 1 か月半ほどかかるため、必要になる時期から逆算して動いてください。
まとめ
5 つのうち 1・2・3 は、設立前か設立直後にしか選べない項目です。登記を済ませてからでは変更に費用がかかるものもあります。当事務所では設立前のご相談を無料で承っていますので、会社を作る前の段階でご連絡いただければと思います。
文:木下 涼(かわせ税理士事務所/顧問先担当・税理士試験科目合格者)
本記事は 2026 年 9 月時点の制度にもとづく一般的な説明です。個別の判断は、必ず顧問税理士にご確認ください。